

バットストライク(Bat Strike)とは
コウモリが人工物等に衝突して死傷することをバットストライク(Bat Strike)といいます。近年、再生可能エネルギーの一つである風力発電施設の設置が増加するに伴い、風車の回転翼にコウモリや鳥が衝突する事故が増え、世界中で問題になっています。
環境アセスメントなどでも鳥類(特に渡り鳥や猛禽類)及びコウモリの衝突予測や事後調査が、事業者に義務付けられることも多くなりました。
バットストライクの防止策・緩和策の検討にあたっては、海外の先行事例を学びつつ、被害の実態の把握と、コウモリ類の繁殖・渡り・採餌等の行動や習性等に関する調査研究の充実と情報の共有が望まれます。

風力発電事業におけるコウモリ類への配慮のためのガイドラインについて


EUROBATSのガイドライン
当翻訳は、EUROBATSが 2015年に出版した「Guidelines for consideration of bats in wind farm projects Revision2014 EUROBATS Publication Series No.6」(以下、EUROBATS(2015))を、「EUROBATS事務局」の許可を得て、日本の「コウモリの会風力発電ワーキンググループ」が仮訳したものです。
現在、日本国内には風力発電事業におけるコウモリ類への配慮に関するオフィシャルガイドラインが存在しません。
そこでコウモリの会では「コウモリの会風力発電ワーキンググループ」を発足し、コウモリの保護・研究が先進しているヨーロッパの2つの機関が発信している各ガイドラインの和訳を作成しました。
風力発電アセスの関係各機関におかれましては、本ガイドラインを指針としたコウモリ類への配慮(保全)を推奨します。尚、和訳したガイドラインを発信している団体は下記の通りです。
◆ NatureScot…イギリス(スコットランド)の自然保護団体
私たちは、このガイドラインの和訳を日本で公開することで、日本で一人でも多くの方が、風力発電とコウモリとの関わりに関心を持たれることを願っています。
そして日本の風力発電アセスにおいて、コウモリに関する科学的で適切な調査と
影響予測評価、保全措置が行われることを願っています。
また、これらのガイドラインに書かれているように、風力発電事業がコウモリの生息に適切な配慮を行うことで、野生動物との共存を実現し、真に自然にやさしい再生可能エネルギーになることを願っています。

NatureScotのガイドライン
当翻訳は、イギリスのScottish Natural Heritage他の共著によって 2019 年1月に出版された「BATS AND ONSHORE WIND TURBINES:SURVEY, ASSESSMENT AND MITIGATION Version:January 2019」を、版元の許可を得て「コウモリの会風力発電ワーキンググループ」が仮訳したものです。
このガイドラインはEUROBATSガイドラインからさらに内容が具体的になり、音声調査や現地調査による影響予測の評価の仕方についても実例を交えて詳細に紹介されています。
コウモリの会では、このガイドラインの和訳公開がEUROBATSガイドラインとともに、日本の風力発電アセスにおいても非常に有益であると考えています。

